堤 紀子(大分大学 理工学部 助教)

女性研究者として伝えたいこと
福岡県出身。
九州大学大学院工学府機械科学専攻博士後期課程修了。
産業技術総合研究所勤務を経て、平成20年大分大学工学部に着任。現在に至る。

研究

私は工学部の機械コースで材料力学を研究しています。具体的には金属の強度を調べています。
荷重をかけたときの引っ張り試験や、何度も何度も繰り返し力をかける長期的な安全につながるような金属疲労、低温~常温環境中の実験をしています。

材料力学を選んだ理由

学部3年のときにインターンシップで、JR九州の小倉工場に行きました。そこでは電車を一定期間ごとにちゃんと安全かどうかを確認するために、部品のねじ一つ一つまで全部分解して洗浄して、必要な部品は取り替えてもう一回組み立てるということをやっていました。
自分はモノを作るということより、あるものをメンテナンスしつつ安全に使うことに興味があることに気づきました。特に材料力学の中では金属疲労の分野に密接にかかわってくるのでそこに興味を持ちました。

女性材料研究者

育てるというとおこがましいですが、私の体験を伝えることで機械分野は女性でも大丈夫なんだなと思ってもらいたいです。工場というだけできついとか危ないとかいう印象を受けそうですが、女性でもできる仕事が多いので、そういうことを伝えていければと思っています。

研究分野での苦労

あまり苦労を感じたことはないです。機械分野だと女性がいないので覚えてもらいやすい、何かあると話を持ってきてもらいやすいという面では得をしていると感じています。苦労することを強いてあげるのなら、自分のロールモデルになるような先輩が少ないので、迷ったときには自分で考える必要があるというくらいです。

女性研究者としての悩み

研究者としてやっていくことについては男性の先輩に相談できますが、まだ独身なので今は問題ありませんが、家庭とかかわったときにどういう風にバランスをとっていいのかを相談できる相手は同じ工学分野ではなかなかいません。自分で考えるしかないかなと。周りに相談すればよいのですが、こうやってやっていけばいいんだというモデルになる人は少ないと感じています。自分はロールモデルにまではなれるかは分かりませんが、アドバイスの一つでもできればいいなと思っています。

ライフイベントでの不安

なるようにしかならないかなと思っています。決まってもいないことを心配しても大変なので、自分に合った形でやっていくしかないかなとマイペースにやっています。

学生へのアドバイス

就職先を聞くと地元にいたいとか、親がいるからなるべく地元にいたほうがいいかなとか勝手に気遣いをして、自分の進路を狭めてしまう人がいます。研究者になるにしろならないにしろ職場の人間関係はとても大事だと思うので、自分に合った職場を探すことを第一優先にして考えてほしいと思います。インターンシップや工場見学には絶対に行ってください。座学だけではわからないことも多いので、自分の足で行動することを意識してもらいたいと思います。

ワークライフバランス

今やっている実験はずっとつきっきりになるような内容ではないので、忙しいこともありますが意外と調整ができます。他施設に機械を借りに行ったりすることもありますが、そういうのはデイタイムでないとなかなか進まないことが多いので、夜はまた別の実験とか観察等をしています。

ストレス解消法

気分転換することです。仕事も大事ですがそれ以外に仕事も忘れられるくらいの趣味を持つことです。趣味は幅広くて、以前は温泉巡りに行ったりウォーキングをしたりしていましたが、今はボードゲームです。昔だとオセロやチェスですね。今はプレイヤー同士の交渉事を楽しむ少し大人向けのゲームをしています。最近大分にもボードゲームカフェができたのでそういうところへも行ったりして、気分転換を図っています。お互いに表情を見ながらどんなことを考えているのか駆け引きするのがおもしろいです。積極的に自分のことを伝えることは得意ではありませんでしたが、そのトレーニングにもなりました。